昨年アメリカで亡くなられたエジプト人のミュージシャン、ハムザ・エルディーンの追悼コンサートが、横浜開港記念会館で行われた。
ハムザは、アラブの楽器ウードやタールの演奏と歌で、1963年にニューポート・フォークフェスティバルに出て知られ、バンガードから数枚のLPを出した。1981年に来日して1996年まで日本に滞在し、林英哲、本条秀太郎、おおたか静流など多くの日本人と共演した。
クルストファー・ハーディーのタールから林英哲の太鼓、そして音楽監督上田亨、さらに全員の手拍子へと展開された、ハムザの曲ヘラ・リサの素晴しいオープニングは、大変感動的だった。
約2時間、20人近くのアーチストのセッションが続いたが、極めてよく構成・演出(田村光男)されたもので、久しぶりに面白いコンサートだった。
特に、異なるアーチストのセッションだったので、各人のレベルの高低がはつきりと分かってしまうものだった。
コンサートの前に、中村とうようさんと池辺晋一郎氏のトークが行われたが、とうようさんがハムザが来日しているのを最初に「発見した」のが、PLOのアラファト議長歓迎コンサートであったように、アラブ、アフリカなどの問題にも大変意識の高い人だったようだ。
私も、彼が日本で最初のLP『ナイルのうた』を出した1982年に、「ミュージツク・マガジン』で批評を書いたが、彼の音楽の独自性を「非ドラマ性」と書いた。
彼の音楽は、エジプトだがアラブ的でも、あるいは西アフリカのダイナミックでエネルギッシュな音楽とも異なる極めて独自のものだった。
何枚かは、まだ日本盤のCDで出ているので、是非聞いてほしい。
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