『不良少女モニカ』

ベルイマンが死んだ。
『野いちご』を初め、1960年代以降の作品の評価が高いが、個人的には1950年代末の『不良少女モニカ』が忘れがたい。
ストックホルム市の片隅の貧しい少女の話で、性的不道徳性が描かれる。
北国の暗いムードが独特の雰囲気だった。

これも、所謂不良少年・少女もので、石原裕次郎主演の「太陽族映画」、トリフォーの『大人は分かってくれない』、イギリスのトニー・リチャードソンの『長距離ランナーの孤独』、シーラ・ディレイニ作の『蜜の味』などと同様、「不良少年・少女」映画である。

1950年代末というのは、世界手な若者の大衆文化の同時代性があった。
ジャンルを超えて考えれば、かのボサ・ノバも同様の意味があったと私は思っている。
あるいは、少し後になるが、アメリカのフォークソングやサーフィンも同様の動きだったと思う。
一口に言えば、若者文化であり、素人文化である。
それまでの、戦前の大衆文化が、酒場の大人や玄人を相手にした文化であったのと大きな違いであり、また量的な拡大の契機でも。あったのだ

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コメント

  1. bakeneko より:

    『愛欲の港』を観れば分るように、当時のスウェーデンは堕胎が禁じられていていました.金持ちの子供は医者にお金を使って裏から手を回して堕胎し、貧乏な子供は闇の医者に頼って堕胎し、ばれたら感化院に送られました.

    モニカの両親は仲がよくて、子供を作る行為は大好きだったけれど、けれども子供を育てる事になると、からっきし無関心だったようです.
    そんな家庭にそだったモニカも、やはり同じで、子供が出来る行為は大好きだけど.....

    描かれたモニカの年齢は17歳.子供が出来たら、今の日本なら当然のように堕胎を勧めるはず.
    けれども当時のスウェーデンでは、結婚するのが当然のこととして、若い二人は一緒になり、そして子供を生んだのですが.....

    1970年代中頃、法律が改正されスウェーデンでも堕胎が認められるようになりました.現在の法律は日本と大差ないと思われます.
    ———————————–

    一言言わせていただけば、年頃の男女が性的関係を持つことが『性的不道徳』なのですか?.
    子供を生みながらきちんと育てようとしない親が問題なのであって、男女が性的関係を持つことに問題があるのではありません.