黒澤明の1962年の作品を森田芳光が再映画化した。
脚本は素晴らしいが、役者が最低。
脚本は、菊島隆三、小国英雄、黒澤明のをそのまま使っているのだから、筋の展開は大変面白い。
だが、役者がどうにもならない。
主人公が三船敏郎の代わりに織田祐二だなんて、冗談じゃないと思ったが、全く駄目。長嶋茂雄と高校生を比較するようなものだ。
第一、敵役の豊川悦司の方がはるかに背が高くては、様にならない。
松山ケンイチ以下の9人の若者に至っては、個性がなく、誰が誰だかさっぱり区別がつかない。
まあ見られるのが、小林稔侍、西岡徳馬、風間杜夫らだが、これが一応最低点の合格と言うところだろう。
中村玉緒の奥方だが、前作の入江たか子が本当に「天衣無縫さがそのままの地」のように見えたが、玉緒ではすべてが演技に見えてしまう。
役者にとって可哀想なのは、台詞もすべて昔のままであること。
前作がどれだけ山本周五郎の小説の台詞を変えているか知らないが、やはり前作のシナリオは、個々の役者に当てはめた台詞になっている。
それを違う役者が言うのでは、無理が当然あるのだ。
その点だけは、役者に同情する。