映画監督市川崑が亡くなられた。92歳なので、大往生だろう。
多くは、とてもやさしい良い人のように書かれていたが、若い頃は随分女優とも随分浮名を流したらしい。
有馬稲子の最初の恋人だったことは有名だろう。
石原裕次郎が、彼の石原プロで最初の映画『太平洋一人ぼっち』を作ったとき、撮影初日に中村玉緒と一夜を過ごしていて、神戸での撮影に遅れたと「裕次郎本」に書かれていた。
彼は、確かに才能があり、女優をきれいに撮ることでは定評があったので、女優にもてたのだろう。
作品としては、私は谷崎潤一郎原作の東宝での映画『細雪』が好きである。
『細雪』は、新東宝で阿部豊が、大映が島耕二で作っているが、一番原作に忠実ではない東宝での市川作品が一番面白い。
特に、石坂浩二の義理の妹吉永小百合への密かな愛と、船場の旧家の崩壊を通して日本の家の解体を描いているのはさすがだと思う。
この『細雪』の3本は、それぞれに特徴があって、比較するととても面白い。