岡本喜八監督のこの映画は、実は去年DVDで買って持っていたのだが、アメリカ製のため、普通のDVDプレーヤーでは再生できず、パソコンで見ていた。
そこで、BSで放送されたので、録画する。
『侍』は、万延元年3月3日の大老井伊直弼暗殺の「桜田門外の変」には、実は井伊の隠し子・新納鶴千代がいて、彼が井伊を刺殺したという話になっている。
原作は、戦前の郡司次郎正で、「人を斬るのが侍ならば、恋の未練はなぜ切れぬ」という有名な曲であるが、ここの脚本は橋本忍で、大変上手くできている。
武士の子でありながら、孤独から次第に荒れ、最後は水戸藩の暗殺団に参加していく三船の運命の悲しさが良く表現されている。
三船の演技が素晴らしい。
また、無二の友人である小林桂樹も良いが、途中で裏切り者、通謀者の疑いを掛けられて、三船により殺されてしまう。
この辺の三船の悲しさもすごい。
また、一味の首領伊藤雄之助の、「ことを起こすには、血がもっと冷たくなくてはいけない。敵を倒すには、あちらだけではく、身内からの血を流さないといけない」の台詞が怖い。