「非核三原則」、さらに日本の非核武装化ついて、昭和天皇の意思だったのではないか、と私が思う証拠に、元衆議院議員平野貞夫の本『昭和天皇の極秘指令』がある。
この本は、平野貞夫が衆議院事務局にいて、主に前尾繁三郎衆議院議長に仕えた時のことを記述したものである。
その中に、1974年、田中角栄首相にロッキード問題で大騒動のとき、前尾議長が議会で承認されていなかった「核防条約」の批准を強力に推進したことが書かれている。
そして、「暗闇の牛」と呼ばれ、何事にも慎重だった前尾が、一命を賭して核防条約批准を推進した理由には、昭和天皇の指示によるものだったことが書かれている。
昭和天皇は、当時各国元首や首脳と会うと、日本が核防条約を批准していないことを聞かれて心を痛められ、「早期に批准するよう」前尾議長に話したのだそうだ。
すなわち、吉田茂以下、戦後の歴代自民党首相が、本心では核武装したくても絶対に出来ず、ついには佐藤栄作によって「非核三原則」を宣言するまでに至ったのは、おそらく昭和天皇の意思によるものだったと私は推測している。
これは、昭和天皇の事跡として正当に評価すべきことだと私は思う。