寺島しのぶが、映画『キャタピラー』で、ベルリン映画祭の最優秀女優賞を貰ったそうだ。
彼女は失礼だが、尾上菊五郎、藤司純子という天下の美男・美女の両親の割には美人ではないが、演技はまことに素晴らしい。美人じゃない、と言ったところで、両親が余りに美男・美女過ぎるので、普通に見れば十分綺麗である。
以前、樋口一葉を演じた『書く女』を世田谷パブリック・シアターで見たことがあるが、寺島は、出てきただけでおかしかった。
そこには、今売れっ子の佐々木蔵之助らも出ていたが、彼女に比べたらみな素人に見えた。歌舞伎役者の底力を感じた劇だった。
映画『赤目48滝心中未遂』も、映画全体のできと相手役の小野栄一はいまいちだったが、寺島は、白髪の内田裕也と並んで大変良かった。
今、日本の女優では、寺島と大竹のダブルしのぶが最高である。
これに次ぐのが松たか子と宮沢りえだろう。
ところで、ベルリン映画祭と言えば、かつて若松孝二のピンク映画『壁の中の秘事』が出品上映され、国辱映画と騒がれた映画祭である。
今回、受賞してトロフィーを握った若松としては、立派なリベンジになったに違いない。
ピンク映画と言っても、今は誰も知らないに違いない。