『ゴジラ』

前にハリウッドが作った『ゴジラ』がひどかったので、どうかと思う。


結果は、悪くないだが、全体としてはゴジラと言うよりは、ラドンの感じである。
『空の大怪獣ラドン』は、東宝の空想科学映画では最初のカラー映画で、北九州が舞台になっていた。
炭鉱で事故が起き、落盤で頭を打った若者が、坑道での怪獣の幼虫を思い出す。
トンボの幼虫ヤゴの怪獣メガヌロンだが、これが「キリキリ」という金属的で奇妙な鳴き声で、とても怖かった。
私は結婚してある夜、キリキリと音がする。
「怪獣め、阿蘇山から横浜まで来て現れやがったか」と一瞬思った。
目を覚ますと女房が、キリキリと歯ぎしりをしていた。

メガヌロンが海上から現れ、さらにゴジラも出現してハワイを席巻した後、サンフランシスコに向い、そこの地中で雌雄が交尾し、さらに狂暴化して町を破壊する。
その壊し方は、さすがにハリウッドで、その物量の凄さは、竹槍と原子爆弾くらいの差がある。
そして、『ラドン』の西海大橋のように、金門橋も破壊されてしまう。

いずれにしても、最初に怪獣に攻撃されるのがハワイで、サンフランシスコの高層建築が怪獣の飛翔によって破壊されるのを見ても、これは日本の真珠湾攻撃と9・11の世界貿易センタービル破壊を思い出す。
この二つの出来事は、アメリカにとって唯一の大規模な戦争被害であり、民族的記憶として残っているからだろう。
それは、日本も同じで、元寇の神風をつい最近まで、幸運の象徴として憶えていたのだから。
また、最初の『ゴジラ』の上空から東京を襲ってくる壮絶な恐怖は、明らかに米軍B29の空襲の恐怖である。

富士山のそばに原発があること、セットされたミサイルの時限装置開錠の件が最後まで解決されないことなど、変なところはあるが悪くはないだろう。

作者たちに、ゴジラへの尊敬と愛があることは大変好ましいことである。
川崎東宝シネマズ

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