韓国映画特集の最終日、1958年の作品で、地方から兄を捜して弟が米軍基地の町にやってくる。
だが、兄は基地に巣食う窃盗団のボスになっていた。
基地内のキャバレーのような慰安施設の模様が面白い。韓国人女性のコーラス、ダンサーによるストリップなどが演じられていて、米軍兵士が楽しんでいる。ストリッパーは、昔歌手で活躍したロミ・山田みたいだったが、彼女が出ているわけはないので、欧米人に受ける女性のタイプの一つと考えればよいのだろう。
弟は、兄の情婦に会っている内に、彼女に惚れられてしまう。
最後の大仕事だと、兄は軍用列車を襲い、貨物を途中で切り離して物資を奪ってしまう。
だが、弟に惚れた情婦は、憲兵隊に通報してしまい、憲兵隊に追いつかれて銃撃戦になり、トラックは横転し、兄は道路に投げ出され、沼地に逃げる。
憲兵隊と言っても、米軍のではなく韓国人なので、特別な警察なのだろうか。
そこに追って来た情婦が来ると、彼は彼女をナイフで刺し、自分も警官の弾で死んでしまう。
数日後、基地から田舎に向かう弟には、純真な少女が、自分も田舎に行くとついて行くのだった。
基地を舞台にした映画と言えば、日本でも小林正樹の『黒い河』があり、ここでも米軍は悪の象徴だった。
韓国でも、この主人公の若者と純情そうな少女が、基地から離れて田舎に行くのは、米軍に依存するのではなく、自立しようという意志の表現なのだろうか。
後に、セウマル運動などの農村自立運動を感じさせる映画だった。
主人公が、佐藤隆太そっくりで、おかしかった。
フィルムセンター