ニューヨークのギャング・カリート(アル・パシーノ)が裁判で、懲役30年だったのが、違法捜査等から5年で刑務所から釈放されたところから回想が始まる。
プロローグは、射殺されたカリートの目から見た映像で、そこには南国の島の広告がある。
彼は、ギャング稼業から足を洗い、バハマでレンタカーをやりたいと思っている。
裏世界の非情な緊張、確執、裏切り等が、監督ブライアアン・デ・パルマの切れ味の良い映像で描かれる。
プエルトリコ出身なので、音楽はサルサ。
大人の暗黒世界の話にぴったりの音楽である。
最後、マイアミからバハマに逃げようとするカリートと、イタリア系マフィアのグランドセントラル・ステーションでの追っかけがすごい。
エスカレーターで撃ち合いになり、エスカレーターに逆さで落ちるマフィアの姿は、わが日本の増村保造監督、三島由紀夫主演の『空っ風野郎』のラストシーンだが、まさか増村作品を見たわけではあるまい。
最後、恋人の待つ列車の入口に着いたカリートは、手下の裏切りでイタリア系のチンピラに銃殺されてしまう。
ギャング世界もすごいが、いつもピストルを持っていて、脱獄したマフィア親子を殺してしまう弁護士ショーン・ペンもすごい。
検事との司法取引、盗聴、スパイとし、カリートから証拠を取るための犯罪者の釈放など、アメリカの検察、弁護士の世界もすごい。
日本でも最近、元公安調査庁長官や弁護士会長が容疑者になっているが、アメリカの悪徳とは到底比較できないだろう。