フィルム・センターの日活アクション映画特集。『野獣の青春』は鈴木清順の代表作。
多分、3回目くらいだと思うが、初めて完全な上映状態で見た。
というのも、当時は3本立てが常識で、そうしたところでは、上映が相当にいい加減で、話が良く分からないのは、きちんと上映されていない性か、ということがあったからだ。
同僚の刑事を殺された元刑事の宍戸錠が、ヤクザの中に入って復讐を遂げる話。
その表現の豪華絢爛さ、話のテンポの早さ、映画的テクニックの面白さに改めて酔う。
役者も宍戸をはじめ、郷英二、鈴木瑞穂、信斤三、渡辺美佐子、金子信夫、江角英明、小林昭二、川地民夫ら、普段の鈴木作品にはない豪華さ。
鈴木清順映画のカラーでは、これが最高だろう。
モノクロは言うまでもなく、『殺しの烙印』
『夜霧のブルース』は、私のご贔屓・野村孝監督作品で、1940年代に松竹京都で作られた水島道太郎主演の『地獄の花』のリメイク。歌は言うまでもなく、ディツク・ミネのヒット曲。
横浜の港湾荷役会社の野上(山茶花究)のところに裕次郎が来て、自分と浅丘ルリ子のことを回想し、最後はルリ子殺しの野上らを追い詰めて殺し、自分も死ぬ。
裕次郎が映画で死ぬのは、前作の『太陽への脱出』に次いで2本目なのだそうだ。『太陽への脱出』と同様に、岩崎加根子が重要な役で出ている。
日活の裕次郎映画の曲がり角的作品で、後に「ムード・アクション」というジャンルが生まれ、多数の佳作が作られる。
ルリ子の役名が、榊田みち子というのが、面白い。
裕次郎・ルリ子の名作『憎いあンくいくしょう』でのルリ子の役名が、榊田典子だからだ。
勿論、それにかけている。
野村孝は、アクションも抒情的な表現も上手で、ここでも回想場面の演劇的なシーンも良く、また畳み掛けるアクションも冴えている。
現在も、高橋英樹の「船長シリーズ」の土曜ドラマの監督をやっている。