昨日は、東急池上線が乗り放題だったとのことで、大変な人が集まったようだ。私は、池上に生まれ育った場所なので、へえと思うしかない。
今は池上4丁目だが、昔は池上本町だった。
だが、池上線は意外に映画に出てくる。
一番有名なのは、小津安二郎の遺作『秋刀魚の味』の、佐田啓二と岡田茉莉子が住んでいるアパートで、岩下志麻と吉田輝雄が別れる駅のホームは、石川台駅。
また、笠智衆が海軍時代の部下の加東大助と再会する町は、感じからすれば蒲田あたりだろうと思う。小津はもともと松竹蒲田撮影所にいたので、この辺の土地勘があったのだと思う。
池上線で一番印象的な場所は、大崎広小路駅から高架で五反田駅に行くところで、ここは小津の『東京暮色』にも使われているが、浦山桐郎の『私が棄てた女』でも出てくる（写真は小津の『東京暮色』）
遡れば、小津安二郎のサイレント時代の『生まれてはみたけれど』にも電車が走っているシーンがあるが、あれは目蒲線（現多摩川線）で、池上線ではないようだ。
日活では、吉永小百合・高橋英樹の西河克己監督の映画『雨の中に消えて』で、伊藤雄之助都議会議員の選挙事務所は、池上駅前で、今はマクドナルドなどが入っているビルである。
池上線は、大船に行くにも便利だったとのことで、大島渚も松竹に入ったとき、沿線のアパートの住んでいたことがあるそうだ。
池上線は90周年でもあり、喜ばしいことである。