昨日は、新人監督映画祭で、次のようなトークイベントをやった。
それぞれの貴重な映像を少しづつ上映しながら、個々の場所や時代について、大高会長と話した。
その中では、篠田正浩監督の映画『わが恋の旅路』も取り上げた。
横浜市役所が背景に岩下志麻が「映画『逢うときはいつも他人』を見に行く」と川津祐介に言い、その映画館に入る映像が続く。
私は「横浜日劇で・・」と解説した。ただ、前から映画館の位置関係がどうかなとも思っていた。
すると、横浜からわざわざ来てくれた安室さんが終了後に来られて、
「あれは横浜日劇ではなく、グリーンホールと言った映画館だったと思う・・・」
私は、正しいご指摘には従う人間なので、安室さんには感謝したい。
疑問が一つ解決した。
トークイベント 「映画は都市の写真帳」
11月12日
大衆文化評論家 指田 文夫
日本映画監督新人協会会長 大高 正大
映画で、ロケーション撮影されたとき、作者の意思とは別に、映像にその町や情景、人々等を残してしまう。今日、それを見る時、私たちは家族の古いアルバムを見る時のような、「ある種の懐かしさ」にとらわれるに違いないと思う。今回は、東京、横浜を中心に、大阪や京都での映画からも写真帳を探ってみた。
1 非常線の女 1933年 監督小津安二郎 田中絹代・岡譲二 フロリダ、山手、物産ビル
2 君と別れて 1933年 監督成瀬巳喜男 水久保澄子・磯野秋雄 金沢小柴、湘南電鉄
3 悲しき口笛 1949年 監督家城巳代治 美空ひばり・原保美 桜木町、新港ふ頭
4 め し 1951年 監督成瀬巳喜男 原節子・上原謙 鶴見区矢向、大阪城
5 夜の肌 1960年 監督川島雄三 淡島千景・新珠三千代 赤坂、国会議事堂
6 花 影 1961年 監督川島雄三 池内淳子・池部良 銀座、麻布、多摩川など
7 充たされた生活 1962年 監督羽仁進 有馬稲子・田村高広 渋谷、厚木駅、銀座など
8 如何なる星の下に 1962年 監督豊田四郎 山本富士子・池部良 佃島、筑地川など
9 甘い汗 1964年 監督豊田四郎 佐田啓二・京マチ子 下北沢、上野など
10 夜の女たち 1948年 監督溝口健二 田中絹代・高杉早苗 大阪市西成周辺
11 小早川家の秋 1961年 監督小津安二郎 中村鴈治郎・浪花千栄子 向日競輪
12 ある大阪の女 1962年 監督須川栄三 団玲子・川崎敬三 大阪難波、臨海部など
13 俺は待ってるぜ 1957年 監督蔵原惟繕 石原裕次郎・北原三枝 新港ふ頭、野毛山等
14 わが恋の旅路 1961年 監督篠田正浩 川津祐介・岩下志麻 港町、伊勢佐木町など
15 涙を、獅子のたて髪に 1962年 監督篠田正浩 加賀まりこ・藤木孝 ヨットハーバー等
16 泥だらけの純情 1963年 監督中平康 吉永小百合・浜田光夫 渋谷駅、横浜駅など
17 赤いハンカチ 1964年 監督舛田利雄 石原裕次郎・浅丘ルリ子、遊園地、図書館など
18 東京流れ者 1966年 監督鈴木清順 渡哲也 山下ふ頭、ニセ佐世保(横須賀)など
19 紅の流れ星 1967年 監督舛田利雄 渡哲也・浅丘ルリ子 神戸港、新港ふ頭など
20 進めジャガーズ 1968年 監督前田陽一 ジャガーズ・中村晃子 横浜ドリームランド
番外編 愛と希望の街 1959年 監督大島渚 藤川弘志・富永ユキ 川崎駅前など
コメント
ご丁寧にありがとうございます。豊洲には毎月行っています。所属している映画サークルの例会を毎月、豊洲文化センターでやっているので。横浜駅の構内が未見の「紅の流れ星」の中に出てきたとは。映画の中では初めて見ました。私はかつて行った事のある横浜の映画館については自信がありますが、グリーンホールは「わが恋の旅路」で初めて知りました。先程、Googleマップを見ていたら、グリーンホールは伊勢佐木町通りからニューテアトルの前を通って次の角を左に曲がったところ辺りにあったのではないかと今は思っています。そうすれば「レストラン ア・ラ・モード」の裏も見えるはずですから。もう少し調べてみます。
グリーンホールは、名前は聞いたことがありますが、私が横浜市に入った1972年にはもうなかったと思います。随分と変な場所にあったんですが、入口の感じが横浜日劇に似ていますので、中央興行系だったのでしょうか。
本数を詰めすぎだと大高会長からも言われました。本当は手元で私が操作して上映できれば良かったのですが。
横浜駅東口の中が出てきたのは、『泥だらけの純情』で、これには山手も出てきます。
伊勢佐木町が一番出てくるのは、東宝の『白昼の襲撃』ですが、DVDがなくて残念です。
『紅の流れ星』も、半分くらいは横浜で撮っていて神戸のことにしています。日活も経営が苦しくなっていたのでしょうね。これにはジェンカを渡哲也が踊るなど、非常に洒落た映画で、「舛田のおっさん、やるじゃないか」と当時思いました。池田一朗の台詞も非常に上手いです。
『愛と希望の街』は、京急川崎駅前の非常に幅の広い踏切や川崎市電の車両も出てくるなど、貴重な映像です。