『松川事件』

昭和24年8月に起こった「松川事件」の被告は警察の違法捜査によるデッチあげであることを暴く映画。
脚本山形雄策・新藤兼人、監督山本薩夫。
昭和36年公開で、当時は1・2審の有罪判決の後、最高裁の差し戻し判決で、仙台高裁でやり直し裁判が行われていた。
最後、2審の有罪判決直後の抗議集会で終わるが、被告の母北林谷栄の台詞には泣かされる。

山本監督は、完全な「コンテ主義」で、前日にコンテを全部書き、当日はきわめて能率的に撮影したそうだ。
警察・検察追及の弁護人の演説も迫力があるが、アクション・シーンも上手い。
岡林主任弁護人の宇野重吉をはじめ、千田是也、永井智雄ら新劇人が総出演。
ほとんど死んでいて生きているのは、新東宝の宇津井健と俳優座の浜田寅彦、そして最後に学生姿で出てくる山本学、さらに被告の一人林昭夫らのみだろう。
主人公赤間勝美被告の小沢弘治は民芸らしい。
女性も沢村貞子、北林谷栄、さらに新東宝怪奇映画で有名な五月藤江が珍しいが、健在なのは北林くらいか。

この映画は、昔テレビで見たが、全く記憶に残っていない。
今回見ると2時間40分ととても長い。その性で名画座でも余り上映されなかったのだろう。
川崎市民ミュージアム。

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