『村山新治、上野発5時35分』は、非常に面白い本で、東映東京撮影所の裏側がよくわかる。
中で、村山が監督した1960年の『白い粉の恐怖』の原作は、当時厚生省の麻薬取締官だった栗山信也氏で、彼の弟栗山富郎が東映にいた関係で映画化されたのだそうだ。
この栗山信也氏の息子が、元新国立劇場の芸術監督でもあった、演出家・栗山民也なのだそうだ。
そして、栗山信也氏は、朝鮮からの引揚者だというと、作家赤川次郎の父親が満映にいた引揚者でやはり東映にいたことと共通したものを感じる。
だから、なんだと言われるかもしれないが、東映東京という場所が戦後に、行き場のなかった、しかし才能のある人の職場になっていたのだと思うと、非常に感慨が深い。