『ネオン警察・女は夜の匂い』

小林旭劇場、「ネオン警察」シリーズ第二作、監督は野村孝。
大阪にいた旭が、飛行機に乗り羽田に着いて向かうは、鶴浜市。
そんな市はなく、横浜市鶴見区である。
実際に鶴見で撮影したようで、鶴見駅西口の飲食店街、豊岡通り、さらに大黒の埋立地等が出てくる。

そこは、須賀不二男の誠心会と宮園組のヤクザが争っていて、旭は宮園組に雇われて来たのだ。
言わば、1960年代の「渡り鳥」シーズであり、「女の警察」のドサ回り版である。
ドサ回りなので、引き抜く女は、銀座のような高級クラブではなく、キャバレーの女である。
ここにも、牧紀子が出てきて、クラブのママだが、同時に宮園組の組長でもある。
女性がヤクザの組長というのは、東映のヤクザ映画にもあったが、全体にこれは、ヤクザ映画の焼き直し的である。
旭と同じように誠心会に雇われた殺し屋が、内田良平で、この内田と旭の関係は、昔の「渡り鳥」シリーズの旭と宍戸錠である。

女の引抜きや出入りもあるが、実は内田良平の策謀で、さらにその裏の黒幕は、県会議員で、鶴浜市に大レジャー・センターの建設を目論んでいる小松方正の策略であることがわかる。
勿論、小松方正は、旭の手で殺される。
すでにダイニチ映配時代の1970年末なので、小林旭の他、沖雅也、前野霜一郎、さらに後のロマン・ポルノで活躍する高橋明、庄司三郎らが端役で見える。
「ネオン警察」シリーズは、この前作の『ジャックの刺青』と本作のみで、日活の経営が大きく傾いてしまったので、たった2本で終了してしまった。

野村孝は、日活の初期からいた監督で、石原裕次郎の『夜霧のブルース』や、小林旭の『さぶ』等の他、宍戸錠をして「日本映画でハードボイルドの最高峰」と言わしめた『拳銃は俺のパスポート』を作った名匠である。
だが、多作で様々なジャンルの作品を撮ったので、極めて評価の低い人である。
1970年代以降は、テレビの土曜ワイド劇場で高橋英樹主演のものを数多く作っていたが、まだご健在なはずである。
日本映画専門チャンネル

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