ラピュタの独立プロ特集で、1960年の『北白川子ども風土記』と1956年の『長崎の子』を見た。どちらも一般公開というよりは、地域、学校での上映や買取を目的に作られた作品である。
前者は脚本が依田義賢、監督は小坂哲人、後者は脚本が山形雄策、監督は木村壮十二である。
京都の北白川地区で、地域の風土を掘り起こそうとする子供たちの話。毛利菊枝の他、多々良純、沼田曜一らが出ていてきちんとしたドラマがあったが、それは依田の力のように思えた。
先日見た『末っ子大将』も監督は木村壮十二だったが、脚本は依田義賢で、1960年頃、この人は関西で左翼独立プロ活動にかなり参加していたことが分かる。これは和歌山の非常に貧しい漁民の子どもの話で、親父はいつもの島田頓、母親は望月優子、それに前にも書いたが長谷百合が出ていた。
『長崎の子』は、原爆で両親が死んで祖母の五月藤江と住んでいる少年の話、新聞配達をしている。かつて新聞配達は小・中学生のアルバイトだったが、今はフリーターか外国人の仕事になっている。
五月は白血病がぶり返し床につき、また同級生の女の子も白血病になる(父親は岩下志麻の父の野々村潔)が、いずれ健康になるだろうことが示唆され、最後「なんでこんなに苦しむのかよく考えてみましょう」と日本共産党的メッセージで終わる。
この辺は共産党に忠実な山形雄作のものであり、木村壮十二監督の考えではないと思う。
先生が田口計で、頬にケロイドのある原爆娘として吉行和子が出ていた。これは音楽が大木正夫だったが、私はこの人の音楽にどうもなじめない。