『女ともだち』

先日なくなったイタリアの映画監督ミケランジェロ・アントニオーニの1956年の初期作品。
ローマから女性洋装店主エレオノラ・ロッシドラゴが店の新規開店のためにやってくると、ホテルの隣室で若い女性が自殺未遂を図る。
そこから彼女は、トリノの若い男女のグループと知り合いになる。
そこには様々な恋愛模様がある。
自殺した女性は、偶然肖像画のモデルになったことから妻のいる中年画家に恋し、一時は恋仲になるが、最後は失恋して自殺死してしまう。
主人公のエレオノラも、店の内装を担当した若いデザイナーと恋仲になるが、彼女は仕事をとり、男と別れてローマに行く。
言わば「女性の自立」を描いた作品である。
この映画は、1960年代高校生のとき、『情事』『夜』等を見た後で見て、当時アントニオーニについて言われていた「愛の不毛」「愛の不条理」等の歌い文句から見て、どうもよく分からずはぐらかされたような記憶がある。
当然、高校生では意味は分からなかったわけだ。
一言で言えば、女性の自立を描いた先駆的作品だが、大変きめ細かく表現されていて素晴らしい。
この次の作品『さすらい』と同様、日本の成瀬巳喜男的世界なのである。
エレオノラも、この時期のイタリア映画を代表する美人女優だが、大変上手く演じている。
言わば、成瀬監督の『めし』に出た原節子のようなものだろう。

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コメント

  1. 自殺を防げ

    なかなか発散にくい所ですが、大いにはなし、一緒に悩んでくれる場所が増えてくれるといいと思います