『二人でひとり』『宵闇せまれば』

夕方、地下鉄で移動してフィルム・センターで青島幸男監督・脚本・音楽・主演の『二人でひとり』と実相寺昭雄監督、大島渚脚本の『宵闇せまれば』を見る。

『二人でひとり』は、中堅役人の三木のり平が若い愛人中山千夏と、業者から提供された豪華マンションに引っ越してくる。
そこに三木の息子で独身の編集者青島幸男も来て、いつの間にか千夏とできてしまい、どちらが千夏の夫になるか、争うという随分不道徳な話であり、またよくあるコメディである。
最後、中山が妊娠するが、3人で育てることを暗示して終る。
よく考えると相当に進んでいた話である。
そのマンションの住人と管理人で坂上二郎と萩本欣一が出てくる。
他には、のり平に便宜提供をする電機会社課長に佐藤英夫。
青島は脚本、監督、主演、音楽をこなしている。音楽はジミー竹内のドラムだけだが。
三木、中山の芸達者の間で堂々たる主演。
青島がまじめで、三木がだらしなく、何事にもドジな親父と言うのが、意外にも本人に合っている。
青島は、この頃は軽薄タレントの代表のように思われていたが、その後政治家になったように根はまじめな人なのだろう。
三木も青島もやたらにタバコを吸っている。
青島も肺ガンになったことがあると思う。
先日なくなった植木等も、酒は飲まなかったが、ヘビー・スモカーで肺がんだった。
やはり、タバコは体に良くない。

『宵闇せまれば』は、当時TBSテレビの俊英ディレクターと言われた実相寺が大島の脚本で実験映画風に作ったもので、ATGで上映された。
夕方、あるアパートの1室にいる4人の若者が、偶然の事故からガス管からガスを放出し、誰が最後まで頑張れるかを掛ける。
4人は、自由劇場の清水紘冶、樋浦勉、女性が三留由美子、そして最後まで頑張って掛けに勝つのは、どこかで見ているが誰か分からなかったら、後に劇作家になった斉藤憐だった。
三留は、他に見たことが全くない女優だが、すぐにやめたのか。
大島も実相寺も相当に観念的なので、ここでも観念的な議論で終始し、途中眠くなる。
実相寺は、死ぬ直前に神田の喫茶店で見たことがあるが、大変背が高く痩せていて、一目で分かった。勿論、原知佐子と一緒だった。

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