吉村昭原作、森谷司郎監督、主演は北大路欣也。
カメラの岡崎宏三さんによれば「シナリオが主題を絞り込んでいなかった」とのこと。
土佐の漁師の舟が嵐で流され、鳥島に着く。そこは火山島で、水も木もない。
仲間の坂上次郎、水島良太、高橋長英らは次々と死んで行くが、北大路は、鳥を生で食べ、魚を採って生き抜く。
そこで、展開されるのが、三田佳子の母親と四国各地を巡った遍路なのだ。
四季の美しい映像をバックに母子が遍歴する。まるで『砂の器』のように。
3年後、岸田森を統領とする13人の大集団が流れ着く。
彼らは、火打石で火を起こし、工具で木を切って木札を作り渡り鳥に付けて放つ。
だが、何の返事もない。
そこで、彼らは向こうから来ないなら、こっちから行けば良いと船を作る。
映画が動くのは、ここからで、彼らは流木を切り、海底から沈没した船の碇から鉄釘を作り、船を作ってしまう。
ここからは、とても面白い。
だから、前半を30分くらいで仕上げ、中心を後半の船を作り、島を出る作戦にすれば、映画として面白かったと思う。だが、前半の暗い、退屈な物語で、1時間半もあるのだ。
ここで多分嫌になるだろう。
やはり、映画は人間が動かないと見られないと思った次第。
日本映画専門チャンエル