翻訳者の奥さんが来られた

昨日の午後2時の公演に小説『やし酒飲み』の翻訳者、土屋哲さんの奥さんが見に来られた。
土屋先生は、昨年春に亡くなられたそうだ。

エイモス・チュツオーラの小説を劇化するに当たり、当然のこととして、翻訳者の著作権を尊重し、昨年夏に出版社の晶文社に連絡し、許可をお願いした。返事はなかったのだが、晶文社は著作権の継承者である土屋さんの奥さんに連絡をしていた。そこで、昨日見に来てくれたわけだ。

我々は、小説の中から主人公と妻と息子だけの話にした。
小説を読まれた方はお分かりになるだろうが、原作は膨大かつ様々な物語が含まれていて、一環したストーリーがない。
言わば、日本で言えば『古事記』や柳田国男の『遠野物語』等の民族神話、民話の雑多な集成のごときものである。
劇化に当たっては、どこを抽出し、切り取ってくるか、が最大の課題だった。
実は、演出の田村光男同様、大学時代に同じ学生劇団にいて、現在はテレビのシナリオを書いている下川博が構成を考えてくれた。

それは、「主人公のやし酒飲み、妻、息子、この3人の話にすれば劇になる」だった。
その後、事情があって下川は、脚本を書くことが出来なくなった。
そこで、田村が下川の構想に従って脚本を書き、演出した。

土屋さんの奥さんにご感想を聞くと
「長い複雑な話を、よく劇にまとめられた。若い人たちが、小説をよく忘れずに取り上げてくれてとても嬉しい。
主人が生きていればとても喜んだだろう。劇はとても素晴らしかった」とお褒めのお言葉をいただいた。
土屋先生は、昨年なくなられたとのことだが、「もし生きていられたら是非見ていただきたかったとね」と田村光男と話した。

昨日で、金沢区での公演は終わった。
また、今週中に再度稽古して、週末の馬車道でのバンカアート公演に備える。
今週末の公演は、さらにブラッシュ・アップして良い芝居にしますので、どうぞ見に来てください。

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