『葦の浮船』

松本清張生誕100年記念で、土曜ワイドで1980年代に放送されたテレビ映画。
脚本は橋本綾、監督は日活で『夜霧のブルース』『さぶ』『コルトは俺のパスポート』等の名作の野村孝。

雑誌編集者坂口良子は、高山で大学の歴史研究者の渡瀬恒彦に会う。
名古屋から新幹線で帰京すると、彼は大学の同僚で教授の津川雅彦と一緒に下車し、さらに出迎えの津川の妻萩尾みどりらと車で帰る。
津川は、本当は高津住男の人妻・山口果林と山中温泉に旅行していたが、そのアリバイ作りを手伝っていたのだ。
この二組のカップルをめぐってドラマは展開する。

そして、津川・山口が東京の旅館で殺人事件を目撃したことから事件がさらに深まる。
ムード派であると同時にテンポの良い野村孝なので、展開は大変面白い。
山口は自殺し、大学の教授選挙で津川のスキャンダルが問題化する。
最後は、やはり勧善懲悪かと思うと、もう一度逆転になるところは、松本清張の反逆性だろうか。
どうしても、坂口良子を渡瀬恒彦と一緒にさせず、無理やり女性として自立させようとしすぎるのは、橋本綾の考えだろう。
坂田晃一の音楽が快い。

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