『峰の雪』

三好十郎作、児玉庸策演出の民芸公演で、役者もよく、まじめにきちんとやっているが、まったく面白くなかった。
戦争中に書かれた作品で、時は昭和16年秋、太平洋戦争直前に設定されている。
ただ、この劇は戦時中に書かれたものの三好十郎の生前には、発表されなかった。

九州佐賀の陶工名人・治平(内藤安彦)は、時代の要請で茶器等は作れず、碍子の注文ばかりで、作陶はやめ農作業をしている。
そこに出奔していた次女(新沢泉)が戻ってくる。
大陸で何をやっていたか不明で、悪い噂も広まっている。
だが、最後に実は軍関係の重要な業務についていたことが分かり、また治平に軍の機密部品の仕事が来て、再び作陶に戻ると言うもの。

全体にやや散漫な構成で、三好十郎得有の熱い、取り付かれたような情熱的な人物がいない。
戦時中の作品なので、戦争協力はあり、そのために戦後に三好が発表しなかったこともあるだろうが、本来は戯曲のできが悪かったから発表しなかったのではないか。
三好十郎の良さと問題点を再確認した芝居だった。
紀伊国屋サザン・シアター

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