『リア王の悲劇』

佐藤信演出、石橋蓮司主演の、この芝居を見たのは1ヶ月前の10月3日だった。
1幕は、主役が階段状のセットの奥のほうで芝居をするので、見にくくてとても不快だった。
2幕になると石橋も前の方に出てきたので、まあ見られた。
特に良いも悪いもないが、やたらに日本風で大げさな衣装には参った。

こういう日本的な意匠の演出を見るとすぐに黒澤明の『マクベス』の翻案である『蜘蛛巣城』を思い出してしまう。
関係ないが、映画『キャリー』のラストでキャリーの母のパイパー・ロリーが刃物が飛んできて刺さり死んでしまうのは、この『蜘蛛巣城』の最後で三船が雨のごとく飛んでくる弓矢に刺さり死ぬシーンをヒントにしているそうである。
以前、蜷川幸雄も『マクベス』をやったとき、舞台前面の枠組みを仏壇にして、中央に大きな桜の木を植えたが、余り成功ではなかった。その後の『マクベス』では使用していない。
シェークスピアは、変な細工をせずに普通にやるのが一番良い、というのが私の考えである。
まあ、普通な方か。

一つ世田谷パブリック・シアターを大いに誉めておく。障害者用の施設がきちんとしていること。都内最低は、老人客が多い俳優座劇場と歌舞伎座であることは、実に不当である。

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