石原慎太郎のトラウマ

尖閣諸島問題から、外国人への差別発言など、石原慎太郎は、なぜ排外的な発言を繰り返すのだろうか。
それを理解する簡単な方法は、彼が原作・脚本を書き、裕次郎が主演した映画『狂った果実』を見ることである。

中平康監督の名作の筋は、ツルゲーネフの小説『初恋』にも似ているが、遊び人の石原裕次郎の兄と、真面目な弟の津川雅彦が、同じ女性北原三枝を好きになる。
裕次郎は、ついに三枝をものにしベットも共にする。
だが、若い彼女は、実は外国人の富豪の妻だった。
そして最後、津川雅彦の捨て身のヨットへの攻撃に、裕次郎と三枝は死んでしまうのである。

これはなにを意味しているのだろうか。
おそらく、戦後、石原兄弟が住んでいた葉山などの湘南地区には、多くの外国人が住んでいた。
それは、明治以降、猛暑の東京を夏期中は離れて、横浜の磯子、金沢から湘南の別荘に住む外国人が多数いた。
そこで、石原慎太郎は、外人と一緒にいる日本人女性を目撃したに違いない。
そこで、敗戦国の少年として、彼の心は大いに傷つけられたのだと思う。
そんなに繊細な男だったのかと思うかもしれないが、少年時代の彼は今と異なり、きわめて繊細な心の持ち主であり、高校時代は精神的悩みから、1年休学したこともあるのである。

人間、若いときにできた心の傷は、その後も大きな影響を持つものだと思う。
ご興味のある方は、是非『狂った果実』を見ていただきたいと思う。
TSUTAYAに必ずある。

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