『三尺佐吾平』

前から気になっていて見ていなかったので、『レコード・コレクターズ』を寄付しに行った帰りに見る。

因みに同誌は創刊号から全部横浜市中央図書館にあるが、すべて私が寄贈したもので、ぜひご利用いただきたい。

                                                 

1944年7月の東宝映画で、主演はエノケン、高峰秀子で、軽い喜劇だと思っていたら、結構シリアスな話で驚いた。

脚本は三村伸太郎、監督は石田民三で、話は伊達騒動であり、足軽のエノケンが事件に巻き込まれ、下層の者としての意地を通して解決される物語である。

ただ、戦時中なので、足軽のエノケンが、伊達藩の幼君亀千代に尽くす忠臣が賛美されているが、そこは作者たちの当局への心配りだろう。一応時局に応じていますという。

だが、今日見ると、さすがに鳴滝組なので、庶民感情、偉い人への感情がよく出ていると思う。

勿論、当時のことなので、悪の親玉は原田甲斐(清川荘司)であり、対する志村喬や黒川弥太郎らは善玉である。

現在では伊達騒動にも、山本周五郎の『樅の木は残った』以後、様々な解釈があるようで、真相は到底私には分からないが、幕府の思惑など一筋縄では解釈できないもののように思う。

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