映画女優花柳小菊が亡くなったそうだ。89歳。
花柳小菊と言って知っているのは、多分60代以上の者だろう。
東映の時代劇で、かなり色っぽいきれいいなおばさん役だった。
異色の役では、加藤泰が監督した福田善之原作の『真田風雲録』の淀君がある。
「皆さん、平和的に仲良くやってください!」
と今の言葉で言えば、KYの極みのようなことを言うのが最高だった。
また、彼女はテレビの『新撰組』の近藤勇で大人気になった中村竹弥と、かなり共に年取ってから結婚し話題になった。
だが、若い頃はいろいろあったようだ。
『古川ロッパ昭和日記』の昭和24年10月に、ロッパが川口松太郎と会い、仕事の話をした後にこう書いている。
(川口は)三益を捨てて、花柳小菊と出来ていたのが近頃解消、もとの鞘への由
花柳は、もともと芸者上がりだったのだから、いくらでも男と付き合っていたのだろう、芸者が男と付き合うのは本業である。
もっとも、花柳は半玉のままで映画界に入ったそうで、14歳で日活の女優になっている。
近年、加藤清四郎君以来、子供タレントの活躍が話題だが、花柳は10代でも多分大人の女性の役を演じたはずで、その辺は今の子役とは全くことなる。
愈々持って、ご生存の有名女優は、現役の森光子を例外として、原節子と山田五十鈴になるのだろうか。