『パガニーニ』

音楽家の映画は結構あるが、一番のヒット作はモーツアルトを主人公にした『アマデウス』だろうが、これも非常に面白く、よくできている。

イタリアのヴァイオリニストのパガニーニは、超絶技巧のヴァイオリニストとして知られ、イタリアからロンドンに行く。

                

このロンドンでの公演の模様が中心であるが、彼の天才的な技術と色好み、そして金と博打のことが非常に上手く描かれている。

現在のヴァイオリン演奏に?がる技巧を作り出した彼は、遺伝子の突然変異で生まれた天才であり、相模原の障害者施設を襲った犯人の考え方によれば、障害者と同時に、こうした天才も異常者なのだから、抹殺しなければいけなくなるわけである。

事実、彼がロンドンに来ると、「道徳向上連盟」の女たちには、破廉恥漢は帰れ!とデモされることになる。

彼女たちのような純潔主義者は、イギリスやアメリカには多くいて、『ワイルド・バンチ』の冒頭には、禁酒同盟が出てくる。

酒と女は、人間を堕落させる悪の根源なのだそうだ。

その通りだが、「人はパンのみにて生きるにあらず」であり、この世には悪も必要なのである。

さて、ロンドンの劇場での演奏は物凄く、超絶技巧のシーンでは、何人かの女性が気絶する。

また、演奏には即興もあり、インプロビゼーションはジャズのものだと勘違いしている人も多いが、民俗音楽では当り前であり、このようにクラシックでも19世紀では普通に行われていたことなのである。

当時、ピアノのリストもそうだったそうで、彼のファンの多くの女性は気絶したようだ。こうなるとロックのグルーピーとまったく変わりはない。

最後、病を得て故郷のイタリアで静かに死んでゆく。

やはり、世の中には天才はいるものなのである。

イマジカBS

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