『大列車作戦』

1945年の春、パリに数日後に連合軍が到着するという日、ドイツ軍はフランスの美術品をドイツに移送し戦費にあてようとし、特別列車が仕立てられる。

実話に基づき、フランスの美術館や国鉄の職員、さらにレジスタンスの連中によって阻止される作戦を描く。あまたある映画の中でも非常に面白い作品の一つだと思う。

監督はジョン・フランケンハイマー、主演はバート・ランカスターで、対立するドイツの将校はポール・スコフィールド、フランス、ドイツ人の全員が英語を話している。それもそのはず、これはアメリカのメトロ映画なのだ。

この時期、ハリウッドは米国内を離れ、欧州で沢山の作品を作った。その理由の一つは、欧州で外貨の持ち出し制限があったために、アメリカ映画が欧州で利益を上げても米国には戻せなかったので、それで欧州で米国映画を製作したのである。同様なことは日本でもあり、1950年代には日米合作映画があったが、これも同様の事情からである。

列車が動くまでにいろいろあり、老運転手がコインをパイプに入れて走行を妨害したとのことで、射殺され、本来は機関手ではなく操車場の主任のバート・ランカスターが運転させられることになる。

まず、操車場で連合軍からの空爆があり、爆弾が派手に破裂するが、不思議なことに飛行機の姿は見えない。東宝なら、円谷特撮ですぐに爆撃機を飛ばすところだが。

夜、列車はドイツに向けて走り出すが、どうやって列車運行を妨害するのかと思うと、途中のループのところで方向を逆に変えて、フランスに戻してしまう。

夜間なので外がよく見えないこともあるが、欧州では都市は城塞の中にのみあり、そこを出ると農地等が延々と続き、どこかよくわからないこともあるのだろう。

通過する駅では、標識を変えてしまって方向を偽装する。

また、途中で連合国の戦闘機に追われて、トンネルに逃げこむシーンもあるが、ここでは本当に飛行機が飛んでくる。

最後は、列車を離れての戦いになるが、次々と課題が解決されていく。

こうした作り方は、ハリウッドの得意とするところだが、やはり面白い。

原題は、ただのトレインである。

イマジカBS

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