こんなにいい映画とは知らなかった。とても驚いた。
昭和37年、監督鈴木英夫。脚本は監督と、東宝の宣伝部にいた升田商二で、広告業界の内幕。
製薬会社の宣伝企画をめぐるライバル会社(電通と博報堂だろう)の営業マン宝田明と司葉子の争い。
実際、業界にいた人だけに話にとてもリアリティがある。
しかも、司葉子主演で、同僚の大塚道子、水野久美、原知佐子など、完全なフェミニズム映画である。
現在見ても全く古くなく、この時代にこれだけ女性をきちんと、また反面の悲しさを描いているのは大変少ない。
特に、大塚道子が独身で、お局様的姉御なのだが、これがとてもぴったり。俳優座での芝居を含めても、多分代表作だろう。
この時代、すでに一部ではピンク映画など、セックス表現が過剰になって行くのだが、ここでは性表現はない。結局、宝田と司は関係するが、その表現はなし。
だが、約10年後に、大映はつぶれ、日活はロマン・ポルノになってしまう。
今考えるときわめて早い時代の推移だった。