『SOS・タイタニック』


かのレオ様のヒット作ではなく、ケネス・モア主演の1958年のイギリス映画。BSの録画。ランク・オーガニゼーション作品で、冒頭に大男が鐘をつく有名なタイトルがある。

淀川長冶さんは、ハリウッド版『タイタニック』は、このイギリス製の足元にも及ばないと言われたそうだが、それほどすごい作品だろうか。
きわめて堅実に作られた映画というべきだろう。

沈没が近づいているのに、悠然として死を迎えようとする人の姿が多く描写される。
逃げ惑う人の中でずっとカードをしている者たち。本を読んでいる老人。正装に着替え召使を従え逍遥する紳士など、上層の人間。
また、一緒に死のうと船内に残る夫婦も多数。今日の「離婚時代」では、考えられない、少なくとも「火サス」では、絶対にない筋書。

それに対し、三等船室の下層民は、甲板に上がろうと暴動寸前になるが、彼らも反乱にまでは行かない。
イギリスも、まだ「怒れる若者たち」やビートルズもいない、良い時代だったのだ。

この映画、そしてタイタニック事件には、キリスト教的な匂いの、破滅と救済、がある。
大げさに言えば、「ノアの箱舟」である。

だから、この手の映画は、欧米では頻繁に作られる。『ポセイドン・アドベンチャー』、さらに現在公開中のリメーク『ポセイドン』など。
『エアーポート』シリーズなども、よく考えると同じだ。

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