役者黒木和雄と経歴


先週、映画監督黒木和雄がなくなった。彼は、実は役者として何本かの映画に出ている。藤田敏八監督の日活映画『非行少年・陽の出の叫び』、村上春樹原作、大森一樹監督のATG作品の『風の歌を聴け』である。

『非行少年・陽の出の叫び』は、ラストシーンで非行少年が仲間の奪還を企て護送車を襲うところ。川の対岸で釣りをしている小説家。
この映画の撮影は、岩波映画以来の盟友の鈴木達夫なので、出たのだろう。
『風の歌を聴け』では、精神科医の役。なぜ出たかは不明。

どちらも余り出来の良い作品ではないが、上映されることがとても少ないので、いずれ黒木和雄特集をやるときは、関連作品として是非上映してもらいたい。

彼の訃報は各社とも、大学卒業後、岩波映画に入社となっていたが、彼の本によれば卒業後、ほんの一時期だが東映京都に助監督としていたらしい。
当時の東映は「撮影所内を歩くものは皆無、皆走っている」と言われた時代で、最悪の就業状況だったらしく、すぐに辞めて上京したようだ。

黒木は、最初に『飛べない沈黙』を見たときは、とても難解だったが、その後『祭りの準備』では、抒情的でとても分かりやすく、その変貌に大変驚いた。

彼は、画面構成が上手く、また役者の演出も良い。
60年代以降の日本の映画監督の中でも最上級だったと思う。

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