「天皇、女王蜂説」

「日本の天皇は、女王蜂だ」と言ったのは、戦前に日本に長く駐日アメリカ大使としていたジョゼフ・グルーである。
戦時中のアメリカでは、戦後の日本の政治体制について議論がされていた。
そこでは、欧米のような共和政体が第一で、天皇制の廃止はもとより、陸海軍の統帥者である天皇は、戦犯裁判に掛けろと言うのが一般論だった。
後に、連合国総司令官となるマッカーサーも、天皇制廃止と裁判論者だった。
だが、グルーは、日本での経験と多くの知識人たちとの交友を基に、
「天皇は、蜂の巣の女王蜂であり、何もしていないが、女王がいなくなれば巣はバラバラになってしまう」と米国の当局者を説得したのである。
なにもしないからこそ、特別な力を持つ、と言うのは実に不思議だが、日本の神道では、偶像やご神体がなく、山や樹木、森などの自然が神体である例がある。
まさに、なにもしない、できない真空状態だからこそ、ある種の権威を持つというのが日本の天皇制だと私は思う。

今回の即位と改元で、特になにがあったわけでもないのに、喜ぶ国民の姿は、まさに蜂の巣の働きハチなのだろうか。

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