『たとえば野に咲く花のように』

新国立劇場のギリシャ悲劇3部作の2作目。
作鄭義信、演出鈴木裕美、出演永島敏行、七瀬なつみ、田畑智子、大沢健など。
ギリシャ悲劇の「アンチゴーネ」を下敷きに、1951年の朝鮮戦争中の北九州、ダンスホールの女性と敵対する店の二人の男との叶わぬ恋物語。
永島は、あるダンスホールの女で朝鮮人の七瀬に人目惚れしてしまうが、七瀬は全く受け付けない。永島には婚約者田畑がいて、田畑には彼女に焦がれる永島の手下の山内圭哉がいる。
叶わぬ二組の恋が続いていくが、最後山内は永島に決闘を挑むが、なんと山内は、この恋の連鎖に何の関係もないダンスホールの客の大石継太を刺してしまう。
このとき、思わず私は、「なんと非論理的な」と思った。
これでは、悲劇は成就しないではないか。
悲劇とは、実は極めて論理的なものであり、主人公たちが死へと向かうにはきちんとした筋道が必要なのだ。
ここには、論理は全くなかった。
だから、悲劇は成立せず、最後にガダルカナルでの戦友を見捨てたことを心の深い傷として負っていた永島を七瀬は容易に理解して、結婚してしまうのだ。
鄭も鈴木もいかに非論理的であるかということを改めて実感した劇だった。

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コメント

  1. Unknown より:

    Unknown
    大石刺してないから。

    刺したのは、大沢健だから。

  2. ご指摘有難うございます より:

    ただしどちらも無意味
    大石ではなくて大沢健ですか。
    いずれにしても筋には関係ない奴を刺すのは論理的におかしい。
    それでは「通り魔事件」になってしまうのだから。

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