1962年の松竹京都の作品。芦屋雁之助が、京都警察音楽隊員を演じる。
冒頭のパレードで、少女が車に跳ねられたのを目撃した雁之助は、列を乱したとのことで、隊長の山路義人から、二軍への転換を告げられる。
警察の婦人警官は、牧紀子、少女は榊ひろみ、これに雁之助、小雁、雁平ら以外は全くみたことのない役者ばかり。
雁之助は、公園で榊と会い、事故で目が見えなくなっている彼女を自己の警察寮に連れてきて、病院に入院させる。
この雁之助が、異常なケチで、竹筒に余った小銭を貯めているのがすごい。榊を病院に入院させる費用を出すため、竹筒を小雁が割って出すのも大いに笑える。
榊ひろみは、松竹末期の清純派の一人で、SKD出身で結構可愛かったが、作品には恵まれず、倍賞千恵子のようには大成しなかった。
彼女を跳ねて逃げた連中は、宝石泥棒であることが分かり、牧の他、雁之助もいつものように変装して捜査に協力する。
易者、乞食、屋台のラーメン屋等で、この手の娯楽映画によく出てくる変装である。
泥棒一味は、京都の音楽喫茶デイ・ドリームの地下にいて、その看板に「トランぺッター、クリフォート・ブラウン」が笑える。もちろん、クリフォード・ブラウンなのだが。
この泥棒一味に、不貞腐れた男がいて、これが実は榊ひろみの兄と分かるのだが、明らかに近藤正臣である。タイトルでは、近藤正(新人)となっていた。今村昌平の『エロ事師たち』で、小沢昭一の息子として有名になるは1965年だから、これの方が早いわけだ。
最後は、もちろん一味は逮捕され、榊ひろみには、故郷の和歌山から恋人が来て、雁之助の恋は駄目になる。
年末の音楽隊パレードでエンド。
監督は酒井欣也で、後に大船に移籍するが、それは彼が大女優だった酒井米子の息子だったことがあるのだと思う。松竹は人情派なので、情実が考慮されたのだろう。
他の、福田晴一、倉橋良介らの情実のない連中は、ピンク映画に行くのだ。
衛星劇場