製薬会社が、寄付288億円 (東京新聞)

これは少々賛成できない記事である。
元コンベンション業界にいたものにとって、学会の内、一番お金持ちは医学関係で、そこに業界の寄付があるのも当然に思える。もともと、日本では寄付が少ないことが問題なのだ。アメリカでは、寄付をするというのは資産家の証明であり、事実ビル・ゲイツも多額の寄付をしているはずだ。

一番の問題は、日本では個人も企業も、寄付が自由にできないことで、財務省が、企業、個人の剰余金に課税し吸い上げてしまう。そうした点こそ追及すべきことだと思う。

日本では、個人、企業、団体、どこであっても剰余金が出たら国が召し上げて、財務官僚が国全体を見て大局的見地から使い道を決めるという、「官尊民卑」の構造になっていることこそ問題の本質だと私は思うのだ。

製薬会社71社、288億円寄付 大学病院への売り込み手段
日本製薬工業協会(製薬協)に加盟する製薬会社七十一社が二〇一七年度、大学病院や医療系の各学会に二百八十八億円を寄付したことが分かった。医師は患者に処方する薬の選定や新薬の臨床試験で影響力があり、製薬協はガイドラインを策定して医師との関係性の透明化を進めている。かつて癒着の温床にもなった製薬業界からの巨額の寄付が、依然として医療界に流れ込んでいる実態が浮かび上がった。製薬協の加盟社は一三年度から、大学病院や学会、医師への寄付を毎年度ホームページで公開しており、本紙が集計した。最も多かったのは大学病院の診療科や医学部の講座に出す「奨学寄付金」で、二百九億円と全体の73%を占めた。次いで大学や財団への「一般寄付金」が五十一億円、学会に対する「学会等寄付金」が十六億円、大学への「研究・教育助成」が十二億円だった。企業別では、中外製薬が二十七億五千万円、アステラス製薬十七億二千万円、第一三共十六億二千万円、と上位を占め、小野薬品工業、武田薬品工業と続いた。最多の奨学寄付金は、全国八十一のすべての大学医学部が受けていた。メーカー側にとっては自社の薬を売り込む有力な手段になっている。上位十社の奨学寄付金の合計は約一万三千七百件。総額百六億六千万円で、全体の半分を占めた。一件あたりでは一千万円の大口から十万円まであった。中外製薬は取材に「大学の研究支援が目的。採否は審査委員会が判断し、営業部門は関与していない」と説明。アステラスも「医学薬学の発展への貢献が目的、医療機関との関係をスムーズにするためではない」と回答した。製薬協は一一年、医師との関係の透明化に向けた国際的な動きを受け、ガイドラインを策定。一三年には、大手のノバルティスファーマ社から奨学寄付金を受けた医大の臨床研究に同社の社員が参加し、降圧剤ディオバンの虚偽データを研究者に提供していたことが発覚。製薬協は翌年、自社の医薬品の臨床研究に奨学寄付金を出さないよう通知した。透明化への動きや批判を受け、奨学寄付金は以前より減少傾向にあるが、大学や学会側の要請もあり、依然高水準にある。寄付とは別に製薬各社は一七年度、各学会で開かれるセミナーの共催費として計七十七億円の「学会等共催費」を支出していた。ある製薬会社の幹部は「共催といってもセミナーのテーマは学会が決め、自社の薬の宣伝はほとんどできない。講師の謝礼や参加者の弁当代もメーカー持ちで、共催費は学会への寄付に準ずる」と話している。

◆研究や教育に役割
<日本製薬工業協会の話> 奨学寄付金は、医療機関等の研究や教育に重要な役割を果たしている。製薬協では透明性ガイドラインで、営業部門から切り離した組織が提供の是非を判断するなど、利害関係を疑われないように配慮して行うよう示しており、各社で順守していると考えている。

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