『異人の唄』

新国立劇場のギリシャ悲劇3部作の最後、アンチゴーヌを元にしているそうだが、アンチゴーヌってどういう話だったが、よく憶えていない。
ここでは、北海道らしき北の国の漁村。
そこには、かつて唄で魚を呼んだという女性歌手がいた。
彼女の二人の娘が、純名リサと土居裕子。
土居の叔父が、倒れて盲目となっている車椅子のすまけい。
鐘下辰雄演出(作は漫画家の土田英世)の常で、話は、暗く、深刻で、私は大嫌いな部類の芝居だが、できは良かった。
特に、最後純名と土居が母親のように唄を唄うのだが、二人とも唄がとても上手いので、様になった。
話が極めて重く苦しいので、いきなりそこで唄うのは普通は大変なのだが、全く失笑も漏れずに歌えたのは、さすがに純名である。
私は、この人の真面目で、きちんとした演技が大変すきなのだ。
土居もさすがに上手かったが、贔屓としては、純名に軍配を上げたい。
久米大作の音楽が良かったが、コロスの連中のマイケル・ジャクソン「スリラー踊り」には笑うしかなかった。

今回の3部作では、最初の『アルゴス坂の白い家』は問題提起は面白く、2作目の『たとえば野に咲く花のように』は、改作・翻案としては一番良くできていたが、筋が非論理的だった。
今回の『異人の唄』は、役者の演技は一番良かったと思う。
総じて言えば、1作目の『アルゴス坂の白い家』が一番良かったと私は思うが、いかがでしょうか。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする