カーン・コレクション

HNKのBS1が新年から放送している『奇跡の映像 カーン・コレクション』はすごい。
20世紀のはじめ、フランス人のアルベール・カーンが個人で世界中の映像をカラーで撮らせた。
彼は、フランスのユダヤ人で、世界の文化、習俗等の差異に皆が認識すれば、戦争はなくなり世界は平和になると信じ、世界中にカメラマンを派遣し映画、写真を撮らせた。

この発想は、昔ワールド・ミュージックがブームだったとき、中村とうようさんがよく言っていたこととも一致する。
「ワールド・ミュージックとは特定の音楽のジャンルのことではなく、音楽の聴き方、態度なのだ。
世界のすべての音楽に平等に接し、評価する態度がワールド・ミュージックなのだ」と。

この文化相対主義は、カーンの映像も同じだ。
音楽で言えば、クラシックが常に偉いのでも演歌が低級なのではなく、クラシツクにも駄目なものはあり、演歌にも素晴らしいものはある。
それが文化的ということなのだ。
確か、戦後すぐ作家の太宰治が「文化的となハイカラになることではなく、本物と贋物を区別することだ」と書いたことがあったと思うが、これも同じことを言っているのだろう。

映画でも特にカラーの映像は、時代、社会を極めて正確に再現している。
このような有意義な番組は、是非BSのみではなく、地上波でも放送してもらいたい。
制作はイギリススBBCだが、こういう番組を見るとNHKを大いに評価したくなる。

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