『潮騒』

川崎市民ミュージアムは、昨年なくなられた谷口千吉監督特集で、まずは一番有名な『潮騒』
1954年制作の最初の映画化で、久保明と青山京子、64年は吉永小百合と浜田光夫、71年には小野里みどりと朝比奈逸人、75年には山口百恵と三浦友和で、そして85年には堀ちえみと鶴見信吾で作られている。
この中で、71年の森谷司郎盤はまったく上映されず、ほとんど知られていないが、女優の露出度は一番高かったようだ。

この最初の映画化もかなり露出度が高く、青山京子は塗れた体を小屋で乾かすシーンでは、パンツと胸を覆うタオル姿になり、褌姿の久保と戯れる。
よく考えると、この若者二人のシーンは、三島は新二の裸に興味があったのだ、今はわかるわけだが、当時は女優が裸になることが眼目だと思っていたが。
事実、三浦友和の時は、実際に神島で撮影したそうだが、友和の褌姿を見るために、ホモが島に集結したそうだ。
久保明も、青山京子も適役だと思うが、青山は高橋恵子に良く似ていて、なかなかの美人である。青山の弟は、その後テレビや日活に良く出た高島稔で、漁師仲間の相方は、石井伊吉こと、現在の毒蝮三太夫だった。
青山は、東宝で若手スターで活躍した後、小林旭と結婚して引退した。
久保は、まだ映画に出ていて、数年前職場で「人権研修ビデオ」を見たとき、気弱な老人の役で出ていた。
そこには、昔ピンク映画で主役だった橘雪子も主婦役で出ていて、皆「何とかと役者は三日やるとやめられない」は、本当とあらためて思ったものだ。

同時上映の『33号車応答せず』は、警視庁賛助作品で、都内をパトロールするパトカー乗務の池部良と志村喬の話。
12月25日のクリスマスの一日のことで、妻司葉子との確執や個々の事件の挿話は面白いが、最後のヒロポン中毒の犯人平田昭彦と根岸明美の所は、かなりうそ臭い。

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