『見上げてごらん夜の星を』

例によってハリウッド・ビデオで松竹映画『見上げてごらん夜の星を』を借りてくる。言うまでもなく,故坂本九の大ヒット曲の映画化である。制作は,松竹,マナセ・プロ,ビデオ・プロモーションの三社になっている。脚本・石郷岡豪,監督番匠義彰,音楽いずみたく。これはもとは,永六輔原作の労音ミュージカルなのだ。
荒川区の定時制高校生の話。坂本,左とん平,林家珍平ら,それに伴淳三郎が高校生。
同じ教室を使っている昼間の生徒から坂本に手紙が来る。その相手は,当時清純スターで,荒木一郎にやられて結婚した榊ひろみ,中々可愛い。他には,九重由実子,五月女マリら青春タレント。先生が菅原文太,その恋人は清水まゆみ。

荒川高校は実在の学校で,現在は都立荒川工業高校。となりが,今はなき東京スタジアムで,そこでのミュージカル・シーンもある。
東京スタジアムは,永田雅一が作った球場で,大毎オリオンズをわざわざ東京オリオンズと改称してフランチャイズにした。ロスのキャンドル・スティック球場を見本にした最新の球場で,「東京球場ホームラン」という言葉があったほど狭い球場だったが,当時は席もよく見やすいきれいな球場だった。私も一度だけゲームを見に行ったことがある。経営不振から竹中工務店に売却され,その後都が買取り,現在は公園になっているはずだ。

定時制が勤労青少年の学びの場だった時代の映画である。
この頃,定時制高校映画はかなりある。日活の『いつでも夢を』も吉永小百合と浜田光夫は定時制高校生だった。そこで,高校に行けず働いているトラック野郎が橋幸夫。ここでは,工員の中村賀津雄。その父親・浜村純の一家の貧しさは尋常じゃない。今のソマリアくらいの貧困である。
現在,定時制高校生は激減し,その内容も大きく変化している。
こういう映画を見ると,本当に日本は極めて短期間に高度成長したと実感する。

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