『流されて蜀の国へ』

著者の川口孝夫氏は、1952年北海道で「白鳥事件」が起きたとき、日本共産党の軍事組織の方で、その後1957年から1976年まで中国にいた。
1950年代の日本共産党は、武装闘争時代で、各地でテロ事件を起こしていたが、その一つが北海道で共産党対策の白鳥警部補が射殺された白鳥事件である。
犯人は共産党員村上国治とされ、冤罪との話もあったが、村上元被告が真犯人であったかはともかく、共産党の仕業であることは今日ではほぼ確定している。

川口氏も当時武装闘争を行ったが、白鳥事件は関係なかったようだ。
だが、1956年の6全協で武装闘争を清算した日本共産党にとって、武装闘争時代の人間は邪魔となり、川口氏は中国に「流された」わけである。
そして、彼は、1950年代末の「大躍進」から1960年代の文化大革命に至る中国の大混乱を実体験することになる。

驚くのは、当時共産主義の成功の印として喧伝されていたことがほとんど嘘で捏造だったことだ。
農業の集団化、人民公社化の誤謬が実証されている。毛沢東の妄想に近い理想主義によって急速な「共産化」が進められ、農業は壊滅的な打撃を受ける。
「深耕・蜜植」農法はその典型である。

密生した稲穂の上に子供が乗っている写真は、「蜜植」農法の成果として私も見たことがある。
だが、これは別のところで出来た稲を植え替えて作ったインチキ写真だった。
確かに、深耕して、蜜植出来れば収穫は上がって良いだろう。
だが、そのためには肥沃で柔らかい土壌が必要で、蜜植は、通気が悪く育成が良くない他、虫も発生するのである。
文化大革命も、今日では劉少奇らの現実的政策の正しさと国民的人気への「毛沢東の嫉妬と妄想」と言うのが定説だが、実際に見た方に記述されると迫力が違う。
自費出版なので、普通のところにはないだろうが、公共図書館等にはあると思う。
大変興味深い本である。

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コメント

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