石原慎太郎原作、白坂依志夫脚本、恩地日出夫監督で、主演は団令子と久保明。
団は横浜のキャバレーのホステスだが、誰とでも分け隔てなく寝る「素晴らしい女」として設定されている。
真面目な大学生の久保がマンションの管理人になり、団と知り合う。
団が住んでいる部屋は、関内駅のすぐ傍で、横浜市役所の建物が見える。
まだ、駅は出来ていなくて、根岸線の高架の線路のみ。
線路の下にはまだ水路があり、港橋は鉄のアーチ橋である。
車や人通りもあるので、模型ではなく実際の撮影らしい。
恐らく、今はパチンコ屋になっている、昔はキャバレー・ミカドがあった辺りから撮影しているのだろう。
最後、団たちは宝石の密輸取引の情報を得て、それを横浜駅で横取りする。
昔の東口が出てくる。
意外にも久保明の機転によって横取りは成功する。
プエルトリコ人で世界中を密航している革命家として鹿内孝が出てくる。
多分、原作にあったと思うが、この時期、まだ石原慎太郎はアジアやアフリカ、ラテンアメリカの革命は肯定していたようだ。
今や、日活映画の裕次郎の映画に出て来るような、いい加減な取り巻きによって金を浪費する悪役のボスになってしまった慎太郎だが。
監督の恩地日出夫は、この作品の後、団令子主演で『肉体の門』の後日談『女体』を撮る。
だが、このとき撮影所の中で生きた牛を殺したとのことで大問題になり、数年干される。
その後、内藤洋子主演の『あこがれ』『伊豆の踊り子』の商業的作品を会社企画で作らされるが、今見ると皮肉にもこの2本が一番良い作品のように思える。
数年前の『蕨野行』など、最低作品で、つまらなくて途中で出てしまった。