大木実死去

俳優の大木実がなくなられたそうだ。
85歳、現役の男優としては、多分最年長であり、85歳とは男ではかなり長寿である。
この人は、松竹の娯楽映画のスターだったが、意外といい映画にも出ている。
スカパーで見た、有馬稲子主演、家城巳代治監督の『胸より胸に』の他、小林正樹監督の『あなた買います』、野村芳太郎監督の『張り込み』等に主演している。
松竹大船をやめた後は、東映京都のヤクザ映画で、最後は主人公の味方について殺される本当は善人の悪役、最初に殺されてしまう善玉など、多数出た重要な脇役の一人だった。
出身は大阪なので、東映京都はやりやすかったのかもしれない。若い頃には松竹京都作品も多数ある。

かなり野生的な二枚目だったが、日活の石原裕次郎に比べれば若さと明るさに欠けていたのは損だった。石原裕次郎が特別だったのだが。
松竹の1950年代前半の男性スターが鶴田浩二なら、1950年代後半は大木実であると言えるかもしれない。
彼の野性的な柄を生かし、グラマー女優・泉京子が海女を演じ大ヒットした『禁断の砂』シリーズでは、泉京子の相手役を演じている。
最初の作品『海人舟・禁断の砂』ではフランキー・レインの『OK牧場の決闘』のような主題歌も歌っていて、見た時は大爆笑した。

実は、大木実の愛人の息子と言うのが中学校の同学年にいた。
大木の本名と同じ「池田君」で、さすがに外国人のような彫の深い顔でいい男だった。
年齢から言えば、大木実の映画デビュー以前の出生であり、複雑な事情もあったのだろうが、皆知っていた。
芸能界には進まなかったが、今はどうしているのだろうか。
とても真面目な男だったと記憶している。
渋い好漢のご冥福をお祈りする。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. 池田 聡 より:

    質問です
    父(大木実)の3男です。
    ネットをサーフィンしていたら、あなた様のブログに出会いました。宜しくお願いします。
    父の愛人との息子と同じ中学校、とありますが、どちらの中学だったのですか?
    もし差し支えなければ、教えて下さい。
    私には昭和22年生まれと、30年生まれの2人の兄がおります。

  2. さすらい日乗 より:

    大森4中です
    書き込みありがとうございます。

    長男の方で、大田区池上の大森第4中学です。
    同じクラスになったことはありませんが、西欧人のような彫りの深い顔で、大変な人気者で、みんな知っていました。
    ここには、一時期でしたが、子役の太田博之君もいましたが、彼も本当に外人のようなルックスでした。

    大木実さんは、今考えると『張り込み』『あなた買います』など、とても良い映画に出ていますね。
    日本映画も良い時代だったと言うことでしょうが。

  3. 池田 聡 より:

    愛人ではなく・・
    父は初婚、母は再婚だったので、母の連れ子が長男(22年生まれ)に。また当時松竹が父を独身スターとして売りたかったので、結婚を隠していたそうです。マスコミに感づかれて、慌てて子連れ結婚式をあげました。私はまだ生まれていません。
    そんな状況で1番上の兄は、”愛人の息子”になってしまったのでしょう。今度会ったら話します!

  4. さすらい日乗 より:

    大変失礼しました
    そういう事情だったのですか。

    大木実さんは、大変まじめな感じで、裏のある人には見えなかったので、長い間不思議に思っていたのですが、そうだったのですか。
    当時は、芸能情報もあまりなかったので、噂だけが一人歩きしていたのですね。

    昔は、特に松竹は、城戸四郎が「スターは独身」という方針だったので、結婚を隠しました。
    戦前の大スター岡田時彦は、独身のまま死んだのですが、もちろん奥さんも子供もいたわけです。
    スターが、恋愛と結婚を公にしたのは、石原裕次郎、北原三枝あたりからだと思います。
    その意味でも、裕次郎は時代を変革した大スターだったと思う。

  5. 池田 聡 より:

    母に話しましたら・・
    大爆笑でした!

    今は大田区中央町と言いますが、かつては霧里と言う粋な名前。その後に雪谷に引っ越して、兄は雪谷高校~早稲田~日芸を経て、日大の職員になりました。もうすぐ停年です。
    晩婚で一女を授かり、今は大岡山で暮らしています。

    49日の法要で、、兄貴に話します!