緑魔子主演の『非行少女ヨーコ』で寺山修司が、非行少年少女らに言う台詞であるが、その後寺山は、家出人を集めて芝居をする。
田舎から家出してきたヨーコは、新宿の非行少年少女の仲間になる。
非行と言っても、学校や会社に行かず、ジャズ喫茶にたむろし薬を飲み、騒ぐ程度だが。音楽は八木正夫。
仲間は、石橋漣司、大原麗子、城野ゆき、谷隼人ら東映の若手役者たち。
非行ものは、「異色青春路線」の日活が一番で、東映や大映は、美術センスがなく貧乏くさくダサいのだが、妙にリアリティもある。
最後、緑魔子は恋人の谷隼人と共に、サントロペに船で行く。
サントロペとは、映画『赤と青のブルース』の舞台のサントロペで、主演のマリー・ラフォーレが歌った主題歌の『サントロペ・ブルース』も、かなりヒットした。
まだ西欧、特に「おフランス」への憧れが残っていた時代の産物と言うべきだろうか。
『非行少女ヨーコ』は1966年の映画だが、このすぐ後の1970年代になると西欧への憧れはなくなり、沢木耕太郎に代表されるバック・パックのアジア、ユーラシアへの放浪になる。
だが、今は若者はアジア、西欧を問わず海外への関心をひどく失っているそうだ。
これは、実は大変困ったことだと私は思うのだ。