『青春の構図』

1976年に公開された松竹大船の青春映画、岡田奈々、早乙女愛、秋野暢子の3人の女子大生が経験する大学生のお話。

特にどうということはないが、ここで注目されるのは、原作が曽野綾子で、脚本・監督が広瀬襄というミス・マッチであることだ。

広瀬は、アウトロー的立場の若者を描くことから出発していて、日活の監督藤田敏八のデビュー作『非行少年・陽の出の叫び』は、

広瀬が松竹大船の助監督時代に書いた脚本が基になっているのである。

曽野綾子の超保守性と広瀬の反体制がどう結んだのかはよく分からないが、もらったのは題名程度のことかもしれない。

岡田は、昭相大学女子バスケット部員で、秋野はマネージャーだが、坂上二郎監督が率いるチームは非常に弱くてまったく問題にされていない。

早乙女愛と秋野暢子とも3人は、同じ高校のバスケット部員だったが、早乙女は体育の強い短大に進学し、バスケット部の選手として活躍している。

岡田と秋野は大学の同じクラスで、そこにはたまにしか来ないが成績優秀の加納竜がいて、女性の憧れの的である。

岡田は、動物にしか興味がなく家業のガソリン・スタンド経営を継ごうとしない森田健作に代わってスタンド会社の社長をやっている。

このスタンドや秋野の実家の寿司屋などは、横浜の栄や戸塚などよく見たところが出てくるなど、大船撮影所の周辺の近場で作られているようだ。

加納の家は、子安の漁民で、できの悪い博打狂いの怠け者の親父桜井センリに反発し、家を出て実業家渥美国泰の屋敷に住んで目をかけられている。

その渥美の娘が早乙女愛で、彼女は加納を愛しているのは、二人のドラマ『愛と誠』と同じである。

渥美国泰の会社が、岡田奈々のガソリンスタンドのすぐ前に大型のスタンドを計画したことから、岡田、早乙女、加納らが敵対的関係になる。

「果たして、この後は」と思うと、加納は、早乙女の求婚も、岡田のスタンドに敵対する渥美の会社の計画からのても引き、会社を辞め、ブラジルに行く。

なんとも変な、中途半端な結末で、「あれっ」と思う内にエンドマーク。

広瀬襄としては、相当に不満な結末だったと思う。

衛星劇場

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