篠田正浩が、1960年に作った安保を一応バックにした風俗映画。
脚本が寺山修司で、最初の映画シナリオである。
太陽族ものの延長で、湘南でバカ学生どもがヨット遊びに興じている。
三上真一郎、山下洵一郎、竹田公彦、富永ユキ、九条映子、国景子、炎加代子など。
岩下志麻は、一人溶け込めないが、そこに役人の父親が自殺したとの報が入る。
母親は沢村貞子、長女は鳳八千代、岩下は次女の美人姉妹。
父は、政治家伊藤雄之助の悪事に加担させられて自殺した。家族の面倒を見ると言う伊藤、もちろん美人の鳳の下半身の面倒を見るとの意味である。
反発して家を出る岩下は、金持ち息子の山下の誘惑も振り切り、最後は安保反対のデモに入る。増村にもあった女性の自立である。
一方、三上は問題児で、ヒットラー等々の独裁者を賛美し、安保粉砕には爆弾テロしかないとして密かに爆弾を作っていて、大衆運動を主張する学生活動家とは対立する。
彼は、父親の自殺で婚約を破棄した卑怯な男・高野真二をボクサーを使って暴行したことがばれて逮捕されてしまい、爆弾は使用できない。
この物語は、荒唐無稽であるとして、公開当時寺山修司と小林信彦との間で論争があった。
確かに見るとそのとおりのいい加減な筋だが、篠田の映像のリズムと画面の切れに話に上手く乗せられてしまう。学生時代に見ているが、今回の方が複雑さを感じた。
篠田の映画作りの上手さを改めて感じる。
高野真二に暴行する朝鮮人ボクサーは、劇団四季の水島弘だった。声ですぐに分かった。
武満の音楽は、モダンジャズで、当時のスタープレーヤーの演奏だろう。
炎加代子は、所属が東洋興行になっている。浅草のストリップ小屋の興行会社だったか。
ラピュタ阿佐ヶ谷
コメント
ピアノは八木正生でしょうか
傾倒していたセロニアス・モンクのフレーズをそのままパクッて弾いている箇所があります(藁)。
ちょうど、この年に、「プレイズ・セロニアス・モンク」(king)というLPも録音していますし。
デビュー作だった岩下志麻を含め、ほとんどの女優さんが今となっては古めかしく映っているのに、炎加世子だけは全然雰囲気が古びていないですねぇ。台詞は陳腐でしたが(ハハハ)。