『殺人容疑者』

昭和27年に新東宝で公開された鈴木英夫監督の犯罪映画。
東京で連続殺人事件が起き、それを追う警視庁捜査一課と犯人一味の話。
後に、「警視庁シリーズ」その他、多数の娯楽映画のシナリオを書いた長谷川公之の最初の脚本である。

丹波哲郎の本によれば、これは彼が最初に映画に出た作品でもあるのだが、制作は電通だそうで、D・Pプロダクションという名になっている。
ほとんどがロケで撮影されていて、銀座、丸の内、五反田、田町あたりである。
街頭ロケに迫力があるが、問題の犯罪の動機がなんなのか、よく分からないのが欠点。だが、見ている内にはそんなことは気にならないスピード感がある。
その他、土屋嘉男、小林昭二らも出ている。

タイトルにはないが、刑事には、野々村潔もいたようだ。
野々村は、言うまでもなく岩下志麻の父親で、岩下清の名で、篠田正浩の会社・表現社の代表を長く勤められ、数年前に90歳くらいでなくなられたはずだ。
最後、地下水道に犯人の丹波哲郎が追い詰めれるが、明らかに田町駅近くの京浜東北線の下を横切るドブ川であり、今もあるはずだ。
バックに三田自動車教習所の看板が見える。
キャバレーのダンサーで俳優座の野村昭子も出てくる。ダンサーには見えないが。

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