フィルム・センターで、土本典明監督の『パルチザン前史』を見る。
1969年夏から秋、全国の全共闘運動の後退の中で、京都大学でノンセクトの連中を引きいていた滝田修の言動を描くもの。
彼の語り口は、とても明け透けで面白い。
だが、なんと言ってもすごいのは、9月の大学の封鎖解除に対抗して、京都の市街で繰り広げられる街頭戦で、大変な迫力。
機動隊に対し、学内の椅子、机等々を持ち出してバリケードを作り、投石し、火炎瓶を投げる。
夜になると騒ぎはさらに大きくなり、自動車にも火がつけられる。
だが、勿論騒動は一夜明ければ鎮火し、次第に学内も正常化する。
10月21日の国際反戦デーには、東京でも大きな事件になる。
だが、関西では次々に封鎖が解除される。
滝田は、言う、「今後はパルチザン5人組を作って永続的に運動し変革してゆく」と。
この5人組構想には、毛沢東思想の影響があるようだが、勿論こんなものは出来ない。
だが、よく考えると、「パルチザン5人組」運動に成功した組織が日本にもある。
言うまでもなく、創価学会である。
彼らは、地域での「座談会」を中心に、人生相談から相互扶助、行政への紹介から時には庶民金融までやって会員の現世利益を図る。
これこそ、滝田が意図したパルチザン5人組だろう。
創価学会が、町内会長などの地域のボスに忌み嫌われるのも、多分そうした反体制性的臭いを、創価学会が本質的に持っているからだろう。
そして、滝田修を自衛隊員殺害の「菊井良二事件」を示唆したとの嫌疑で、警察が逮捕、長期拘留したのも、こうした危険性を感じていたからのだろうか。
映画の中には、今は横浜市の大幹部となって大活躍されている方も出ていたが、今とは全く違う風貌で、初めは全く分からなかった。
以前は、字幕が付いていたようだが、今回のには字幕はなし。
多分、現在の事情を考慮して削除したのだろう。