1958年、山口淑子が外交官との結婚で芸能界を引退するときの引退記念映画である。
戦時中の『百蘭の歌』『支那の夜』『熱砂の誓い』の大陸三部作等の大ヒットの李香蘭、山口淑子の東宝への功績を評価して、当時の東宝の全スターが出演する顔見世映画。
森繁や三木のり平らも、ワン・シーン付き合っている。
話で面白いのは、山口は、カルフォルニア州パサデナ市の日系人観光客と一緒に来日するのだが、彼らに「日本が勝ったのか、負けたのか」議論している連中がいること。
ブラジルの勝組、負組だが、アメリカにも「日本が太平洋戦争に勝利した」事を信じる勝組がいたのだろうか。
小杉義男と沢村いき雄の議論は、ルーティン・ギャグになっていて、「明日、来週等々に決着しよう」と言うが、途中でついに「バカらしいから、そんなことより観光を楽しもう」となる。
話は、日系デザイナーとしてアメリカで成功した山口が、墓参りに来たのを皆が利用しようとし、ファッション・ショーを開くと言うもの。
ショーの中に、東宝の男女の若手スターが大挙して出る。
こういうのは、顔見世、お祭りなので、特に言うこともないのだが、原節子が戦後に山本嘉次郎の監督作品に出たのは、これしかないのだそうだ。
理由は、原節子の山本嘉次郎の、戦中、戦後の戦争映画から民主主義映画への転向のいい加減さへの軽蔑なのだそうである。
「本当かね」と思うが、戦後の山本監督作品には、これしか出ていないのは本当である。
しかし、山口淑子って、本当に小柄な女優なんだね。でも、美貌は光っている。
日本映画専門チャンネル 山口淑子特集