テレビの『恐怖劇場』の『猫は知っていた』を見ると、主役で水木譲が出ていた。
共演の妹は島かおり。
どちらも東映、松竹で主演クラスのスターだったが、この頃にはテレビに移行して来ていたのだろう。
水木は、『忍者部隊月光』でも有名だが、東映東京でかなりの作品に主演した若手スターだった。
だが、大半が大したことのない作品ばかりで、その辺で嫌になったのだろうか、いつの間にかいなくなったが、1973年のこの頃は、まだ芸能界にいたわけだ。
病院の看護婦で、かの花柳幻舟が出ている他、おばあさん役で吉川満子も出ているという豪華と言うか、かなり不思議な配役。
犯人は、病院院長の根上淳。
この仁木悦子の推理小説は江戸川乱歩賞を取って大変話題になり、1958年に島耕二監督で映画化され、封切り時に姉と見に行っている。
主演女優の仁木多鶴子の仁木は、この映画から取ったはずだ。大映の永田社長は、こういう話題性からスターの名を付けるのが好きだったようだ。
小学生で見て、とても怖かったことを憶えている。
今見れば、猫とバネ仕掛けの殺人装置など、チャチで、論理的ではないが。
病院の敷地に防空壕があるなど、まだ戦後的風景である。
原作の昭和20年代末には普通だったが、1973年頃にはあったとは思えないが。
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